- 2025年04月15日
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はじめに
リモートワークなどの働き方の変革があったことからデスクトップ仮想化技術の利用は拡大しました。これは元々データセキュリティと管理を効率化するために生まれた技術です。一言にデスクトップ仮想化といっても、DaaSやVDI、シンクライアントなど様々な言葉があり、実態がわかりづらいかもしれません。
この記事では、DaaSとは何か?どうして生まれたかということを理解することを目的としています。
Desktop as a Service(DaaS)とは
定義としては、クラウド上で展開するデスクトップ仮想化サービスのことです。環境の一部や責任範囲をクラウド事業者(CSP)が担うため、労力やコストが既存のVDIに比較して低減されます。その分カスタマイズ性は限定されます。
Virtual Desktop Infrastructure(VDI)とは
VDIの概念図
仮想デスクトップ基盤のことです。サーバー上の仮想デスクトップをクライアントで利用するインフラ基盤のこと、平たく言うとオンプレミスの仮想デスクトップ環境です。自分らですべて管理できるため、カスタマイズ性は高いですが、その分トータルのコストは高くなります。
thin client(シンクライアント)とは
クライアントの作業をサーバー上で実施するシステム、もしくはアーキテクチャのことを指し、これを実現する手法の一つがデスクトップ仮想化です。
- サーバーベースコンピューティング・リモートデスクトップ:RDPなど
- ウェブアプリ:Microsoft365やGoogle Workspaceなど
- ストレージクライアント:クライアントのデータをネットワークストレージに保存する
これらとの違い
繰り返しになりますが、DaaSはVDIをクラウド上に構築したサービスです。構築の手間や管理の労力、導入コストといった課題を一部解決しています。基盤がクラウドにあることからクラウドVDIと呼ぶところもあります。
DaaSやVDIはデスクトップ仮想化技術でシンクライアントを実現する手法の一つですので、並列で語るのは少し違和感があります。
DaaS誕生の背景
まずデータセキュリティや管理を効率化する目的でシンクライアントという概念が1980年代に生まれました。その実現方法の一つとして2000年代にVDIが登場しました。しかし、コストが高いことやスケーラビリティなどの課題が残っており、クラウド技術の発展もあり2010年代に入ってDaaSが登場しました。
主要なDaaSプロバイダーとサービス
AWS
Azure
Google Cloud(旧GCP)
VMware Horizon Cloud
- VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure
- VMware Horizon Cloud Service – next-gen
仮想化技術の代名詞ともいえる企業で、VDI事業者。DaaSをパブリッククラウドで提供しているほか、バーチャルクラウドとして、各種クラウドプロバイダーに展開可能です。
Citrix Virtual Apps and Desktops
元はRDPソリューションを主要なサービスとし、VDI事業に派生した。パブリックプラウドの他、バーチャルクラウドとして、各種クラウドプロバイダーに展開可能
DaaSのクラウド環境
DaaSの環境には下記の3つがあり、構築や責任範囲が異なります。
- プライベートクラウド:自社専用のクラウド環境(データセンターなど)に仮想デスクトップ基盤を構築するケース(サービスかは疑問)
- バーチャルクラウド:自社でCSP上に仮想デスクトップ環境を構築するケース
- パブリッククラウド:DaaSプロバイダーが提供する仮想デスクトップ環境を使用するケース
つまりDaaSとは
クラウド上にデスクトップ仮想化を提供するサービスです。
安易にDaaSと略さず、Desktop as a Serviceと理解したほうが実態を表しているので覚えやすいかもしれません。
DaaSはクラウド上で提供されるデスクトップ仮想化サービスであり、リモートワーク・ハイブリッドワークの時代において重要な役割を果たしています。DaaS・VDI・シンクライアントの違いを理解することで、企業は自社に最適なデスクトップ仮想化ソリューションを選択することができます。各技術の特性とメリットを把握し、適切な選択を行うことが、効果的なITインフラの構築に繋がります。
今回の記事が「DaaSとは何か?」ということの理解につながれば幸いです。